ぼく何歳?
日本の「数え年」の習慣はどこから来た?
日本で古くから使われてきた「数え年」という年齢の数え方。生まれた瞬間を1歳とし、翌年の元日を迎えるたびに年を重ねるという独特の計算法です。
しかし、現代では「満年齢」が主流となり、数え年は日常的にはあまり使われなくなりました。では、数え年のルーツや、満年齢へと変わった理由について見ていきましょう。
「数え年」のルーツ:飛鳥時代に中国から伝来
数え年の考え方は、もともと中国の古代思想や暦法に由来します。中国では、陰陽五行説や儒教的な価値観が根付き、「生命は生まれた瞬間から始まり、1年の一部を生きると1歳とする」という概念がありました。
この思想が日本に伝わったのは、飛鳥時代から奈良時代(6~8世紀)頃のこと。律令制度の導入とともに中国の文化や知識が取り入れられ、数え年も日本に定着しました。その後、数え年は神事や祝い事などの場で使われ、日本独自の行事(七五三や厄年など)にも深く結びついていきます。
満年齢に変わったのはなぜ?:時代の流れと合理性
近代に入り、日本は西洋の文化や制度を積極的に取り入れるようになります。その中で、満年齢の考え方が注目されるようになりました。
西洋化と近代化の影響
西洋では生まれた日を「0歳」とし、誕生日を迎えるごとに1歳を加える満年齢が一般的でした。この計算方法は、合理的で誤解が少ないため、法律や行政で採用されやすいものでした。
「年齢のとなえ方に関する法律」の制定
昭和25年(1950年)に「年齢のとなえ方に関する法律」が公布されました。(※1949年(昭和24年)5月24日公布、1950年1月1日施行。)
これにより、公式な場での年齢表記が満年齢に統一されました。役所の書類や日常生活でも満年齢が広まり、数え年は次第に廃れていきました。
日常生活での利便性
満年齢のほうが、個人の誕生日に基づいて正確に年齢を計算できるため、行政手続きや学校教育、医療などでの利便性が高まりました。
七五三や厄年は現代も数え年を使う
現在の日本では数え年を日常生活で使うことはほとんどありません。しかし、伝統行事や地域の風習では今でも数え年が使われる場面があります。
- 七五三:子どもの成長を祝う行事では、数え年が基準とされていますが、近年は満年齢で祝う家庭も増えています。
- 厄年:厄年の計算には伝統的に数え年が用いられます。
- 神事や祭り:地方の祭りや神社の儀式では、数え年が根付いている場合があります。
結論:時代に合わせて変わる年齢の数え方
数え年は日本の伝統文化や行事に深く根ざし、現在でもその名残を感じることができます。一方で、満年齢は近代化や合理性の観点から広まり、現代の生活に不可欠な基準となっています。
数え年と満年齢、それぞれの背景を知ると、日本の文化の移り変わりや多様性を改めて感じることができます。あなたも、七五三や厄年などの場面で、数え年で年齢をカウントして新鮮に感じたことがありませんか?