人生200年時代へ
セントヘレナの国宝、190歳のゾウガメ「ジョナサン」
動物界でもっとも長寿とされるセーシェルゾウガメの「ジョナサン」。南大西洋のセントヘレナ島に暮らす彼は、推定1832年生まれで、2022年には190歳を迎えました。
この驚異的な長寿を祝うため、セントヘレナ島では12月2日から4日までの週末に大規模なイベントが開催され、公式には12月4日がジョナサンの誕生日として盛大にお祝いされました。ただし、これはジョナサンが生まれた正確な日ではなく、管理者がお祝いのために設定した「誕生日」です。
それでは、ジョナサンについて、もっと詳しく見ていきましょう。
ジョナサンはどこから来た?
カモメのジョナサンならぬ、カメのジョナサンは、もともとインド洋に浮かぶセーシェル諸島で生まれたと記録されています。1882年、当時50歳頃と推定されるジョナサンは、セントヘレナ島の総督の贈り物として島に送られ、プランテーションハウスの庭で暮らすようになりました。
驚くことにその年から140年以上を経た現在もなお、ジョナサンは同じ庭で穏やかな日々を過ごしています。プランテーションハウスの庭では、飼育員の細やかなケアを受けながら、好きなバナナや葉野菜をゆっくりと食べる姿が見られます。その堂々たる姿と長寿記録は、多くの訪問者に感動を与え、セントヘレナの「生きる宝」として親しまれ続けています。
セーシェルゾウガメとは?
セーシェルゾウガメ(Aldabrachelys gigantea)は、アルダブラ諸島などに生息するリクガメの一種です。その特徴は、巨大な体と頑丈な甲羅。平均的なセーシェルゾウガメの体重は150kg以上に達し、甲羅の長さは約1メートルに及びます。
この種の寿命は非常に長く、100年以上生きることも珍しくありません。特にジョナサンのように人間の手厚いケアを受ける環境では、その寿命はさらに延びる可能性があります。
ジョナサンもまた、この種の典型で、甲羅は丸みを帯び、動きはゆっくりとしているものの、その生命力は圧倒的です。食事は主に植物性で、草や果物、野菜などを好みます。彼の特別なお気に入りは、甘いバナナや柔らかい葉野菜だと言われています。
飼育環境について
現在、ジョナサンはセントヘレナ島総督官邸「プランテーションハウス」の敷地内で飼育されています。この広大な庭は彼が自由に歩き回れる安全な空間で、常に清潔で健康的な環境が保たれています。
また、島の温暖な気候は彼の健康に非常に適しており、長寿の要因のひとつとも考えられています。
セントヘレナ島とセーシェル諸島
ジョナサンが暮らすセントヘレナ島は、日本ではあまり聞きなじみがないかもしれませんが、アフリカ大陸の西側、大西洋に浮かぶ火山島です。一方、彼の故郷とされるセーシェル諸島は、インド洋に位置する115の島々からなる国で、美しいビーチと豊かな生態系で知られています。
セントヘレナ島の気候は温暖で湿度が適度にあり、ジョナサンにとっても快適な環境となっています。これに加え、専任の飼育員によるケアがジョナサンの健康を支えています。
正確な誕生日は不明
じつはジョナサンの正確な誕生日は、記録がないため分かりません。しかし、科学的な分析から1832年頃に生まれたと推定されています。
1832年と言えば、かのダーウィンがビーグル号で世界一周航海をしていた最中であり、ヴィクトリア女王が即位する前の時代にあたります。どれほど昔のことか想像できるでしょうか。
セントヘレナ島では毎年12月4日を公式な誕生日としてお祝いしており、地元住民や観光客が集まる特別なイベントが開催されます。この日には、特製の証明書や記念グッズ、切手の販売など、多彩なアクティビティが用意され、ジョナサンの存在が地域社会に与える影響を感じることができます。
ジョナサンに会うこともできる
ちなみに現在も、観光客としてジョナサンに会うことが可能だそうです。ジョナサンが暮らすセントヘレナ島総督官邸の庭を訪れたいと思ったら、現地のガイドツアーに予約してみてください。そうすれば、彼の暮らす環境を間近で見ることができます。
ジョナサンは、長寿だけでなく、人間と動物との共生を象徴する存在です。彼の物語は、私たちに地球とその命の大切さを改めて教えてくれます。